2019/11/08 21:50
LBK の“ものづくり”へのこだわり
11月に入り、日増しに寒さが加わってきました。
バイクに乗った時に顔に当たる風の冷たさが痛みに変わり始め、冬が確実に近づいていることを文字通り痛感しています。
さて、前回の記事ではブランドの概要とデザイナー兼プロデューサーである〈ケイ・アラブナ〉氏についてご紹介しました。
今回の【後編】は、素材や技法など、〈LBK〉のアイテムの特長について書かせていただこうと思います。
独自の技法“鎧染め”で染める革
〈LBK〉のアイテムの特長のひとつが、木目のような模様の革。
この革は、武士の鎧づくりからヒントを得て開発した“鎧染め(よろいぞめ)”という技法で染められています。
使用するのは、古くから日本独自の自然塗料として親しまれている“柿渋”と“漆”。
柿渋は革の耐久性を高めるとともに防水・防虫・防腐効果を与え、革の素地を固める役割を、
そこに重ねる漆は革の呼吸を助け、水を防ぎつつもオイルは浸透させるという特性を持ちます。
この2つを重ねることにより、革本来の風合いを残しつつも耐久性・耐水性に優れたものとなり、
さらに奥行きのあるうつくしい木目模様が出来上がるのです。
この“染め”の工程はすべて手作業で行うため、完成したアイテムの模様も一つひとつ僅かな違いが生まれます。
耐久性・耐摩耗性に特化した“鹿のアキレス腱”
2つ目の特長は、縫いに使用する“糸”。
すべてのアイテムで、鹿のアキレス腱を模したものが使われています。
強度は通常の麻糸の10倍以上とも言われ、耐久性・耐摩耗性にとても優れた糸です。
仮に切れたとしても、糸がほつれることはありません。
この糸はミシンで使用することができず、〈LBK〉では縫いはすべて手作業で行っています。
手縫いによる繊細で正確なステッチが革の風合いを際立たせ、アイテムをよりうつくしく堅牢なものにしてくれるのです。
実用性と高級感を兼ね備えたデザイン
当ブランドアイテムのデザインは、すべてケイ・アラブナ 氏によるもの。
各アイテムに共通するのは、“高級感と実用性を兼ね備えている”ということです。
ブランド最初期にデザインされた二つ折り財布(FWシリーズ)は
「必要最低限」というコンセプトにふさわしく、カード数枚とお札が入るシンプルなアイテム。
使用時にボトムスの後ろポケットにしっかり収まるように設計されており、
お札やカードをフルに入れた状態でも財布自体の厚みが少ないのが特長です。
そのため、ボトムスの後ろポケットに入れたまま座っても違和感がなく、かつポケットから落ちる心配もありません。
外側の革自体はしっかりしているため、使っていくうちにしっとりと高級感が増していきます。
さらに、アイテムの高級感を引き出しているのが“金具”です。
厳選された真鍮製のものを使用しており、深みのある質感が鎧染めを施した革と絶妙にマッチしています。
また、随所に使用される手打ちでつくられたオリジナルの金具もポイント。
手打ちの金具は一つひとつ丁寧に磨くことで、真鍮本来の色味と輝きが最大限に引き出されています。
バランス良く配置された真鍮の金具が、それぞれのアイテムの良いアクセントになっているのです。
無駄を削ぎ落としたシンプルさ。そして随所に見られる遊び心と独創性のある工夫が、
〈LBK〉のアイテムの魅力のひとつです。
日本人の美しい精神を革製品に落とし込む
前述の通り、日本で古くから親しまれる素材を用いた“鎧染め”など
〈LBK〉では日本の伝統的な要素を取り入れ、現代の生活に合った美しく堅牢なアイテムを生み出しています。
当ブランドアイテムの商品を通して、「物に魂が宿る」とする日本人特有の価値観。
そして、ひとつの物を大切に長く使うことで得られる心の豊かさを感じていただけると嬉しいです。